今回は高卒認定試験出身であることが、その後の就職活動などでマイナス要素になるのかということについて実体験を踏まえて書きたいと思います。
私自身は大学入学資格検定(現在の高卒認定試験)を取得して大学に進学したことが、その後の就職活動においてマイナスになったと感じたことは一度もありませんでした。
それは入社後も同じです。
そもそも社会人になって以降は、出身高校を聞かれる機会なんて滅多にないですし、たとえ聞かれたとしても「高校は辞めたので、大学入学資格検定を取って大学に進学しました」と答えると、けっして偏差値の高い大学を卒業しているわけではないですが、「すごいね」っていう感じで周囲から好意的な反応を示していただくことのほうが圧倒的に多かったです。
世間的にそうだと思いますが、順調に人生を歩んできた人に対してよりも、苦労した経験があったり、回り道を経験した人のほうが、より親しみや尊敬の気持ちを持ってもらいやすいものではないでしょうか?
そのため私自身は高校を辞めて苦労した感覚は持っていませんが、中途半端な進学校を経て大学に行っているよりも、「大検出身」のほうが勝手に高く評価してもらえていると感じています。
一方で、保守的な採用をする企業もたしかに存在します。
どことは言いませんが一部の大企業や、地方の金融機関などにそのような傾向を感じることがあります。
しかし、今はグローバル化が進んでいる時代のため、賢い経営者達は「ダイバーシティ(多様性)」の重要性を理解していて、学歴や出身校などにあまりとらわれず、海外人材を含めて積極的に多様な人材を採用するようになってきています。
高認出身程度のことでマイナス評価をされるような企業は、おそらくこれから成長していく企業ではありません。
そのため採用されなかったとしても、「むしろ採用されなくてラッキー」くらいの気持ちでいていいのではないでしょうか?
これは余談ですが、就職活動の人気企業ランキングで上位にきている企業は少し前にピークを迎えていて、これから下り坂に向かうようなところが多いです。
私が関わっている金融業界なんかはその典型的な例で、これから少子高齢化が進行していくので国内マーケットの縮小は避けられず、将来の危機に備えて経営統合や合併、それに伴うリストラが相次いでいるのに結構就活生に人気があったりします。
私自身の経験からしても伸びている会社で働いたほうが仕事は絶対に楽しいですから、「就職活動を行っている皆さんはこれから伸びる企業を選んだほうがいいのになぁ」と毎年のように思っています。
もう亡くなってしまいましたが、2012年に銀行の新春講演会で米長邦雄(元日本将棋連盟会長)が「学校は親の喜ぶところに行きなさい。就職は親が泣くところにしなさい」と話していたのを聞いて、本当にその通りなので、「さすがだなぁ」と思いました。
(これから伸びる企業の探し方については、日頃から講演などの機会に話している私の得意分野なので、そのうち詳細にお伝えしていきたいと思います。)
そして何よりも大切なことは、高卒認定試験を経たことをコンプレックスに思わないことです。
就職活動でなかなか内定がもらえない時期などには「マイナスになっているのではないか」と考えてしまうかもしれませんが、そもそも完璧な人間はいません。
外見や学力・コミュニケーション能力など、それぞれ誰でもどこかにコンプレックスを抱えているものです。
そこを触れてほしくないと思って身構えるのではなく、触れられても明るく笑い飛ばすような感じで余裕を持つと好感度が上がります。
高校を辞めた経験もそんな余裕を持つ感じでいると、たぶん「この子は回り道をした分だけ、順調にきた学生よりも経験を積んでいるのかな」などと前向きに受け取ってもらえるのではないでしょうか?
久保 逸郎
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